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中越沖地震から4ヶ月 科学者たちが見た柏崎刈羽原発

中越沖地震から4ヶ月 科学者たちが見た柏崎刈羽原発_e0090584_017026.jpg


「地震学から柏崎原発を考える」・・・石橋克彦 神戸大学教授 

「原発の機器に何が起きたか」・・・・田中三彦 元原発設計者・サイエンスライター

「原発の材料劣化と地震による損傷」・・・井野博満 東京大学名誉教授


三人が長岡に来て、自前でやってくれた講演を、聴かないわけにはまいりません(@@)

日本航空123便墜落事故をおぼえているでしょうか?
その原因は・・・事故の4年前の尻もち事故の際の修理ミス箇所に対する金属疲労の検査の見落としによってJA8119は墜落した(by wikipedia)とあります。

この時の事故の悲惨さは、今改めてこの記事を読むだけでも、あまりにもあまりにも惨いものです。

この事故機と同様に、危険だとわかっているものを、飛ばすわけにはいかないのだという科学者達の良心に触れた会でした。

       以下3人の科学者の話の中で、私が重要だと思った部分をピックアップします。
                      ↓
『柏崎刈羽原発の「基準地震動」(設計上の想定規模)は、S1(可能性内)300ガル S2(可能性外)450ガルで、
S2は「構造物の相当部分が降伏し塑性変形する場合でも、過大な変形、亀裂、破損等が生じ、その施設の機能に影響を及ぼすことがないこと」
=「原発の中心機器がある程度塑性変形(ゆがみ)を生じても、大規模な放射能放出事故を起こさなければ良い」
したがって、その後の再使用は設計上考えられていない。
そして、今回の中越沖地震の揺れは、記録として残っているものは993ガル(1号機)・・・この記録は旧式のため上書きされた記録であり、実際は、それを遥かに超えた可能性もある・・・で、S2を遥かに超えた工学的にも法規的にもいっさい保障していない強い揺れだった。
したがって、重要機器の塑性変形(ゆがみ)が起きている可能性は大である。
大事故に繫がらなかったのは、「運」が良かった。
危機一髪だったと思う。』


ところが、「被災した柏崎・刈羽原発の設備健全性を評価する委員会(ワーキング・グループ)」の小林(英)委員が、とんでもない発言をします。

『経験した地震に対して、機器が実力としてどんな強度を持っているのかが重要。非常に大きな塑性変形を受けたらかえって強くなるという問題で、損傷という心配はむしろ少ない。それは、後の話として、耐震基準とか設計基準の見直しとなる。』
信じがたい発言である(@@;
塑性変形は、金属が、加えられた力によって、変形し破断へ進む一歩手前の段階である。
金属は強くなるのではなく、硬化するのである。
動脈硬化を起こした血管をだれも血管が強くなったと言わない。


ところが、「原子力安全保安院」は、このワーキンググループの提言を受けて

外見上特に損傷が認められない機器について、地震による応答が認可された工事計画上の耐震設計における許容応力を超える場合には、ご指摘のとおり、機器の実力としての評価を行う必要が有る』と答えているのである。

地震による応答って何?
許容応力って何?
機器の実力って何?

そして、
11月9日付けで、目視点検や非破壊検査などの実物の検査と計算による発生応力の解析の両面から行う「点検・評価計画」を発表し、それを東京電力に指示しました。
その指示の終わりには、
『代表設備を選定する等により、点検事項や解析対象を絞り込むことは妨げない』
とあるのですг(@@;」

「妨げない」って言葉使いって何?ヾ(==;
すべてを点検する必要は無い。
見た目と、数字入力による推定計算で済ませましょうという指示を出しているのです!
許容レベルの数字入力でゴーサインを出すことは、簡単なことです。
こうすれば捏造できますよといっているような原子力保安院の回答には、唖然としてしまいます。


これに対して、良心ある科学者たち(と呼ぶことにします)は、大きな懸念を抱きます(当然かーー;)

『機器にひびわれが生じていれば、超音波検査や浸透検査などの非破壊検査で見つけ出すことは可能である。
しかし、そこに至る途中の塑性変形を見つけることは出来ない。
塑性変形を見つけ出す方法が無いから、小林英夫氏は「強くなるから問題ない」などと議論をミスリードするのか!
いったいどういう評価をやろうとするのか。
何が解るというのだろうか。
機器に塑性変形があってはならない。
塑性変形した機器や材料をもはや使うべきでない。
これは鉄則であろう。
それをふみはずすというのだろうか。』


すでに、老朽化による金属の劣化によるトラブル隠しは、何回も新聞種になっていて、またかと思っていたところです。
地震によって原発の安全性のお墨付きをもらえたと思っているかのような人達は、その為に計り知れない惨事が起ころうと、自分達は「関係ない」のでしょうか。
良心ある科学者たちは続けます。

「原子力発電所は、原子炉を中心に圧力容器とその炉内構造物があり、圧力容器には多数のノズルや配管等々が取り付けられている。
原子炉建屋からは主蒸気管がタービン建屋へ連なっており、タービン建屋にはまたタービンや発電機を始めとするさまざまな重要機器が有り、多くの配管が張り巡らされている。
しかも、柏崎刈羽原発の運転開始は、1号機が20年以上、最も新しい7号機でも10年を経過しており、設備機器の経年劣化も起こっていると考えられる。
過酷な地震動に見舞われたこれらの機器類が健全に設計当初の状態を保っているのかどうか、経年劣化と地震の影響の両方を考えなければならぬことは、IAEAの調査団も指摘している。
そういうダブルパンチを受けた機器の健全性評価をきちんとやるには膨大な時間と手間がかかるであろう。
それに伴う被爆労働も懸念される。」


地震当時休日だったため、原発に出勤していた人達は800人。
普段は、6000人の人達が働いていたと現場で働いている知人から聞いています。
彼らは、どんなに不安だったことでしょう。
あの時、そこで働く人達や住民の安全を誰が考えてくれたでしょうか?
事故が起こるまでは「安全」なんだからと笑って済ませるわけにはいかないことではありませんか?

そして、原発がわざわざ、地震多発ベルト帯の中に納まって建てられていることに、寒気をおぼえました。
スリーマイル、チェルノブイリ、そして日本にならないで欲しいと祈らざるを得ません。
by hontou-no-koto | 2007-11-18 23:01 | 環境


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